忍び寄る「人手不足倒産」の影…

社会問題

近年、日本では人手不足を原因とする企業倒産が急増しています。2023年の人手不足倒産は過去最多の260件に達し、前年比で86%も増加しました。特に建設業と物流業での倒産件数が目立ち、それぞれ91件と46件を記録しています。

人手不足倒産とは、従業員の離職や採用難、人件費高騰などによって必要な人材を確保できず、事業の継続が困難になることを指します。コロナ禍で一時的に緩和していた人手不足問題ですが、経済活動の再開とともに再び深刻化しています。

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中でも建設業と物流業は、2024年4月から適用された残業時間の上限規制、いわゆる「2024年問題」の影響を大きく受けています。建設現場では技術者不足が顕著で、人材の引き抜きや獲得競争が激化。専任の技術者を配置できずに違反行為に手を染める企業も後を絶ちません。

一方、物流業では、トラックドライバーの不足が深刻です。荷物量の増加に対し、ドライバーの稼働時間が制限されたことで、配送遅延や機会損失が発生。燃料費や人件費の上昇もあいまって、中小の運送会社の経営を圧迫しています。

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人手不足倒産に陥るのは、主に従業員数が少ない中小・零細企業です。大企業と比べ、人材の募集力や定着率、デジタル化の対応力などで劣後しているためです。加えて、建設業や物流業では下請け構造が残り、単価の交渉力が弱いことも経営を悪化させる要因となっています。

この状況を打開するには、企業の自助努力だけでなく、産業構造の改革や社会全体での取り組みが不可欠です。

企業には、働き方改革の推進や職場環境の整備、ITの活用などによる生産性の向上が求められます。多様な人材の活用や、外国人労働者の受け入れ拡大なども選択肢の一つでしょう。建設業界では、工期の平準化や適正な工期設定、施工時期の分散化などで繁閑の差を減らす工夫も必要です。

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一方、政府には、外国人材の受け入れ拡大や、地方での就労支援、介護や保育の充実など、総合的な人手不足対策が期待されます。下請け構造の是正や、適正な価格転嫁の推進なども重要な役割となるでしょう。

人手不足倒産は、日本経済の持続的な成長を阻む大きな課題です。企業の存続だけでなく、インフラの整備や物流網の維持、ひいては国民生活の安定にも関わる問題だと言えます。官民が一体となって、息の長い取り組みを進めていくことが強く求められています。

私たち一人一人も、多様な働き方を認め合い、支え合う意識を持つことが大切です。少子高齢化が進む日本において、一人ひとりの能力を最大限に発揮できる社会の実現は、喫緊の課題なのです。

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